ビジュアルポジショニングとLeica GS18 Iに関するQ&A

GS18 I

プロダクトエンジニアの Metka Majeric(メトカ・マジェリック)が、ビジュアルポジショニング(視覚的測位)技術と Leica GS18 I GNSS スマートアンテナの使用に関する質問に答えます。

 

従来の GNSS センサーで測量を行う際の課題は何ですか?

測位をするためには、GNSS センサーが衛星信号を受信する必要があります。つまり、受信アンテナの上部が GNSS 衛星に向いていて、ポールの先端が測位点に物理的に到達している場合にのみ、測位することができます。これが不可能な場合、測量士は以下のような代替方法を使用することができます。

  • 様々な次善策:テープを使用したオフセット測量、COGO 機能の使用、スケッチなど。
  • GNSS センサーと組み合わせた追加機器(例:DISTO や 4メートルのポールに取り付けた CS20):この方法での計測は時間がかかり、精度が低下する可能性があります。
  • トータルステーションのような代替センサー:GS センサーでは測定できない点が数個しかない場合、このような代替センサーを使用すると時間がかかることもあります。

多くの点を計測する必要がある場合、さらなる課題に直面します。毎回ポールの先端を測位点につけてすべての点を一つ一つを計測するには、現場で多くの時間を必要とします。また、いくつかの点を見落としてしまった場合、現場を再訪する必要があり、結果的に追加費用が発生します。

 

Leica GS18 I はこれらの課題をどのように克服しますか?

GS18 I を使用すれば、他の手間のかかる方法や追加の機器を使用する必要はありません。GNSS、IMU(慣性計測装置)、およびカメラを統合したことにより、GS18 I のビジュアルポジショニング技術を利用して、上空へ開けていない点や、物理的に近づくことができない点を画像から測定することが可能になりました。この新技術により、遠くから撮影した対象点を調査級の精度で計測できます。

 

測量のプロは、どのような状況でビジュアルポジショニング(視覚測位)技術を使用しますか?

ビジュアルポジショニングは特に次のような場合に適しています。

  • 何百もの点のマッピング
  • 交通量の多い通りの向こう側、門の後ろ、または危険な場所(例えば、犬に襲われる危険性がある場所、公共施設の危険区域、屋根の端)等、物理的に近づくことができない点の計測


図 1 - Leica GS18 I GNSS RTK ローバーがフェンス上部の点を計測している様子

  • GNSS 信号が妨害されている場所での測量点(例:屋根、バルコニー、木などの下)
  • 建物のファサード上の測定点(窓の角や屋根の高さなど)

QA GS18 I
図 2 - ファサードの計測

  • 現場を再訪することなく、追加のポイントを計測
  • キャプチャしたオブジェクトの点群を作成

QA GS18 I
図 3 - GS18 I で撮影した画像群から生成された点群

  • 土量算出
  • 点計測や3次元点群生成のための事故現場の画像キャプチャ

QA GS18 I
図 4 - 事故現場のキャプチャ

 

GS18 I を使用する必要があるのは誰ですか?

GS18 I は、従来の GNSS 受信アンテナでは到達が困難な点を素早く計測する必要があるユーザーのために設計されています。GS18 I は、現場で大量のデータを画像として収集するのに最適なツールです。ユーザーは、どの地点を調査級の精度で計測するかを後から決めることができます。

 

GS18 I はどのように機能しますか? (計測原理)

以下の動画を例にしてみましょう。

 
ユーザーが工事中の溝内のいくつかの重要な箇所を計測したいと考えています。やることは、カメラをパイプラインに向けて溝に沿って歩き、GS18 I を使用して画像を撮影するだけです。GS18 I は 2 Hz の速度で画像をキャプチャし、最適な画像の重なりと形状を確保します。キャプチャ中、GS18 I は位置と傾きの正確性(品質)が十分かどうかをチェックします。品質が十分でない場合、キャプチャは自動的に停止されますが、すでにキャプチャされた画像は処理されます。また、画像から特徴(特徴点)を抽出することで、連続した画像間の幾何学的なつながりを確立するので、ユーザーは収集データの正確性を気にする必要がありません。

次のビデオは、GS18 I で実行されているアルゴリズムが、キャプチャ中にどのように特徴を追跡するかを示しています。

画像は測位直後に使用できます。これを可能にしたのが、以下に説明するビジュアルポジショニング(視覚測位)技術です。

 

キャプチャした画像を処理するには、どのソフトが必要ですか?

GS18 I は、CS20 LTE コントローラーまたは CS35 タブレット上で動作するソフトウェア Leica Captivate に完全に対応しています。

Leica Captivate は、キャプチャした画像を自動的に処理、配置、方向付けするため、現場ですでに品質管理が行われています。同様の技術を使用する場合に必要な基準点や線を手動で合わせる必要はありません。

 

画像内の点はどのように計測でき、どのソフトウェアが必要ですか?

点は、CS20 LTE コントローラまたは CS35 タブレット上で動作する Leica Captivate 内の画像から計測できます。前述したように、ユーザーは画像をキャプチャした後、すぐに現場で点を計測することができます。画像は Leica Infinity にインポートすることもでき、Leica Captivate と同じ原理で、引き続きオフィスの大画面で点の計測をすることができます。

画像の中の1つの点を選択するだけで、アルゴリズムが他の画像の同じ点を自動的に照合します。ワンクリックで、計測された点の3D座標が計算され、実際にポールの先端を測位点につけて計測した場合と同様に、Leica Captivate または Leica Infinity に保存されます。

他のソリューションを使用して画像から 3D 座標を計算する場合、各画像から点を手動で選択する必要があります。点の 3D 位置は、下の画像に示すように、前方交差によって再構築されます。GS18 I では、アルゴリズムがこの作業を代行してくれるので、各画像から点を手動で選択する必要はありません。これについては、次の質問で詳しく説明します。

QA GS18 I
図 5 - 例

 

ビジュアルポジショニング技術の基本原理は何ですか?

ビジュアルポジショニング技術は、GNSS の位置情報、IMU(慣性計測装置)、撮影した画像情報を基にしています。

Sensor fusion 
図 6 - センサーフュージョン

 

計測原理の例として、以下の動画を見てみましょう。

 

GS18 I で点を計測する場合は、スタート位置に移動し、Leica Captivate を使用してキャプチャを開始します。カメラからのライブ画像が画面に表示されます。バックグラウンドで GS18 I が 2 Hz の周波数で画像をキャプチャしています。Leica Captivateは、GNSS と IMU からのデータと画像で認識された特徴を統合して、グローバル座標系での画像の位置と向きを自動的に処理します。これらの画像は、Leica Captivate 内の画像グループとして保存されます。

画像はリアルタイムで処理され、キャプチャ停止後すぐに測位に使用することができます。1 つの画像のみを使用して、ワンクリックで点を計測することができます。Leica Captivate 上で実行されているアルゴリズムは、他の画像で選択された点を自動的に照合し、前方交差によりローカル座標系で点の座標を計算します。

 

キャプチャした画像から点群を作成することもできますか?

はい、GS18 I で撮影した画像をオフィス用ソフト Leica Infinity で 3D 点群に加工することも可能です。

 

Leica GS18 I と Leica GS18 T の違いは何ですか?

ライカ ジオシステムズの GS センサーは、SmartCheck、SmartLink、SmartLink fill など、長年にわたって開発されてきた高度な技術を搭載しており、一貫して正確で信頼性の高い測定を実現しています。
GS18 T は、これらの技術の利点をすべて備えているだけでなく、ポールを傾けて正確な測定を行うことができ、これまでよりも最大30%高速で測定を行うことができます。
GS18 I は、ライカジオシステムズの GS センサーの新しい主力製品です。GS18 T のすべての機能に加え、ビジュアルポジショニング技術を搭載しています。
他の GS センサーと同様に、GS18 I はすべての GNSS 補正サービスからの RTK 補正を使用できます。GS18 I で最適な測定結果を得るためには、あらゆるGNSS デバイスで使用でき、整合性、可用性、精度を常に監視している GNSS 補正サービス、HxGN SmartNet の使用をお勧めします。


Leica GS18 I に投資するメリットは何ですか?

GS18 I がユーザーにとってメリットになる理由をご紹介します。

  • GS18 I は汎用性の高い GNSS RTK センサーです。ポールが水平または傾斜している地点の計測に使用することができます。さらに、画像をキャプチャして計測することで、アクセスできない地点を調査級の精度で計測することができます。
  • アクセスできない地点は、安全性を損なうことなく、簡単に画像に収めることができます。交通量の多い道路や、危険な犬のいる敷地内での計測に悩む必要はありません。
  • 現場を素早く効率よく撮影し、後から何を計測すべきかを決めることで、現場時間を短縮します。現場時間が短縮され、計測がオフィスで完結するため、生産性が向上します。

 

GS18 I を使用する際、ユーザーはどのような点に注意すべきでしょうか?

ビジュアルポジショニング技術は、GNSS と IMU の測定値と内蔵カメラで撮影した画像に基づいています。GS18 I を画像からの計測に使用する場合、考慮すべき条件がいくつかあります。

  • GS18 I は、計測中、GNSS 信号を十分に受信する必要があります。GNSS 衛星のトラッキングが失われた場合、キャプチャは自動的に停止します。
  • ビジュアルポジショニングが必要な場合は、暗い場所や太陽に直接面した場所での使用は避けてください。キャプチャされた画像に含まれる十分な特徴を認識できず、一致させることができないからです。
  • 最適な精度と性能を得るためには、カメラの位置は対象物から 2~10m 離します。

    2m 以下の距離から撮影した場合、カメラのフォーカスが固定されているため、画像がぼやけてしまうことがあります。一方、10m 以上離れた距離から撮影すると、精度が低下します。

    時折、対象物からの距離が長いために、対象点を画像で認識できないことがあります。1ピクセルのキャプチャ領域サイズは、画像の鮮明さに寄与し、その結果、精度が向上します。短い距離から画像をキャプチャすると、対象物体のより小さな領域が1ピクセルにキャプチャされます。逆に、より長い距離から画像をキャプチャした場合は、より大きな面積の物体が1ピクセルにキャプチャされます。

GS18 I

図 7 - 対象物までの距離

  • 対象物から 2m 以下、または 10m 以上の距離から画像を撮影することは可能です。この場合、精度が仕様外で低下する可能性があり、画像を用いた測定ができないリスクがあることを考慮しなければなりません。

  • 撮像速度は通常の歩行速度に最適化されています。移動中の車両に装着した GS18 I は画像がぶれてしまう可能性があるため、使用できません。

 

Metka Majeric 

Metka Majeric(メトカ・マジェリック)
プロダクトエンジニア、GNSSソリューション、GS18 I 開発チームのメンバー
ライカジオシステムズ

 

 

To learn more about the Leica GS18 I, please visit: leica-geosystems.com/GS18I

 

Leica GS18 I
ビジュアルポジショニング搭載 GNSS 受信アンテナ

 
 

オンラインラーニング

ライカジオシステムズは、お客様がお使いの機器を最大限に活用できるよう、機能の使用方法を学習するためのオンライン学習プラットフォームを開発しました。
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