プレキャスト基礎をスピード設置し住宅が30日で完成 プレックスの建設DXを実現した Leica iCON iCR70

Customer Case Study - 事例

プレキャスト基礎の設置作業中に、墨出し器の前を車両や作業員が横切っても、すぐに「ロスト」状態から回復できることも評価した

低コスト、短工期で環境にやさしい住宅を追求する株式会社プレックス(本社:神戸市東灘区、以下「プレックス」)は、独自のプレキャスト基礎を開発。基礎の設置をわずか2時間に短縮した。プレキャスト基礎を高精度かつスピーディーに行える秘密は、ライカジオシステムズの建設用ロボティック・トータルステーションの活用にある。その結果、着工から上棟までわずか3日、完成まで30日以内という超短工期を実現した。

わずか2時間で行えるプレキャスト基礎の設置作業。墨出しには1人で使えるライカジオシステムズの建設用ロボティック・トータルステーション「Leica iCON iCR70」を使っている
わずか2時間で行えるプレキャスト基礎の設置作業。墨出しには1人で使えるライカジオシステムズの建設用ロボティック・トータルステーション「Leica iCON iCR70」を使っている

 


わずか2時間で設置できるプレキャスト基礎

「これまでの住宅基礎づくりは、土工、鉄筋工、型枠工などの職人の技術が必要で工期も2週間くらいかかっていました。ところが当社が独自開発したプレキャスト基礎だと、職人がいなくてもわずか2時間で設置できます」と、プレックス会長の新井勝吾氏は語る。

同社が2019年に開発したプレキャスト基礎は、工場で生産されるので高強度、高品質なのが特長だ。精度もミリ単位と高い。そのため寿命は約150年もあり、何度も転用できる。

これを、70㎡程度の建物であれば、建物の四隅に設置するだけで、基礎工事は完了する。後は工場生産された住宅の部材を積み上げていくだけだ。

【Before】

従来の現場打ち基礎工法。現場で型枠や鉄筋を組み立て、生コンクリートを打設するため、多くの職人と2週間程度の時間が必要だった
従来の現場打ち基礎工法。現場で型枠や鉄筋を組み立て、生コンクリートを打設するため、多くの職人と2週間程度の時間が必要だった

 

【After】

プレキャスト基礎工法。70㎡程度の建物であれば四隅に工場生産された基礎のブロックを設置するだけなので作業は2時間ほどで終わる
プレキャスト基礎工法。70㎡程度の建物であれば四隅に工場生産された基礎のブロックを設置するだけなので作業は2時間ほどで終わる

 

1人で使えるロボティック・トータルステーション

現場で部材の長さを切って調節するなどのような“現物合わせ”はほとんどないので、基礎設置の段階から設計通りの精度で作業することがポイントだ。

「プレキャスト基礎の設置位置や基礎上に取り付けるボルトの位置は、住宅全体の精度を左右するだけに許容誤差1mm以内の高精度が求められることもあります」と新井氏は説明する。

この高精度の墨出しを実現するため、同社が選んだのがライカジオシステムズの建設用ロボティック・トータルステーション「Leica iCON iCR70」(以下、iCR70)だ。

iCR70は墨出し作業を1人で行えるように開発され、墨出し作業の生産性を80%向上させることができる。

建設用ロボティック・トータルステーション「Leica iCON iCR70」
ライカジオシステムズの建設用ロボティック・トータルステーション「Leica iCON iCR70」

 

「以前はプレキャスト基礎の間隔などをメジャーで測り、高さをレベルで確認していたので、墨出しには2~3人の作業者が必要でした。ところがiCR70の導入後は、わずか1人で墨出しができるようになりました」(新井氏)。

住宅建設の短工期化は、プレックスが全社で取り組む重要課題だ。そのため、墨出し用に使う測量機器も選び抜いたという。

「各社が発売している墨出し器を試して、比較検討しました。ライカジオシステムズのiCR70は精度の点で問題なく、墨出し作業中に車両や作業員などが横切って墨出し器がプリズムを見失うロストが発生しても、すぐに回復してくれました」と新井氏は振り返る。

プレキャスト基礎の設置作業中に、墨出し器の前を車両や作業員が横切っても、すぐに「ロスト」状態から回復できることも評価した
プレキャスト基礎の設置作業中に、墨出し器の前を車両や作業員が横切っても、すぐに「ロスト」状態から回復できることも評価した

 

タブレット型パソコンでスムーズに誘導

“1人墨出し”を行う手順はまず、iCR70のコントローラーに墨出しするポイントの座標を読み込むところから始まる。プレックスではAutoCADで作成した建物の3DモデルをDXF形式で保存し、コントローラーに読み込ませる。

そのコントローラーとなるのが、ライカジオシステムズが開発した防水・防じんタブレット型パソコン「Leica iCON CC80」(以下、CC80)だ。日光の下でも見やすい7インチのマルチタッチモニターを備えた頑丈で薄型・軽量のタブレットパソコンだ。

OSにはWindows10を採用し、BluetoothやWi-Fi、携帯電話回線といった多様な無線接続機能を備えているため、スマートフォンのような手軽さと、Windowsパソコンの汎用性を兼ね備えている。またバッテリーも最高16時間もち、1日の作業には十分な容量を持っている。

墨出しポイントを探す作業者は、CC80とプリズムを持って現場を移動する。

 

防水・防じんタブレット型パソコン「Leica iCON CC80」
防水・防じんタブレット型パソコン「Leica iCON CC80」

 

CC80の画面上には基礎などの3Dモデルと墨出しポイント、そして現在の位置が表示され、目的のポイントまでわかりやすく「ナビゲーション」してくれるので、誰でも間違わず、スピーディーに目的のポイントにたどり着ける仕組みだ。

「このとき、プリズムありとプレズムなしの“ノンプリ”の両方で使えることもiCR70を選んだ理由です。1mm単位の精度が必要な時はプリズムを使用し、プリズム使用が難しい場合などはノンプリで効率的に作業を続行できるからです」と新井氏は言う。

また墨出しの座標は、ローカル座標系と公共座標系のどちらも使用できるため、現場の規模や目的に応じて使い分けられる。

CC80の画面。3Dモデル上に墨出しポイントや現在位置が表示され、目標点までの方向や距離でわかりやすくナビゲーションしてくれる
CC80の画面。3Dモデル上に墨出しポイントや現在位置が表示され、目標点までの方向や距離でわかりやすくナビゲーションしてくれる

 

人手不足時代の建設業をプレハブ化で支援

日本の人口は数年前から減少に転じており、特に建設業の担い手となる15~64歳の生産年齢人口は今後、22世紀まで減少し続けることが予想されている。

これからは現場での手作業に頼った建設業は成り立たなくなり、機械力を備えた工場での住宅生産や、ロボットやAI(人工知能)、測量機器を活用して大幅な生産性向上を実現する「デジタル・トランスフォーメーション」は必然の流れだ。

プレキャスト基礎も、この潮流に乗った製品であり、建設DXへの第一歩としてますます注目されそうだ。

プレックスでは、住宅のライフサイクルでCO2排出量をゼロにする「ゼロエミッション住宅」やコンパクトで低価格の「ミニマルハウス」を提供している。

また冷凍・冷蔵貨物の輸送用に作られた高断熱の「リーファーコンテナ」を活用した植物工場や店舗、太陽光発電と蓄電池を組み合わせて電力の自給自足を図る「オフグリッド住宅」などユニークな建築物も展開している。

生活に必要最低限の設備・機能で、無駄なものは持たない、シンプルだけど心は豊かな心地よい暮らし方を目指す「ミニマルハウス」
生活に必要最低限の設備・機能で、無駄なものは持たない、シンプルだけど心は豊かな心地よい暮らし方を目指す「ミニマルハウス」

 

断熱性に優れたリーファーコンテナを独自に設計し、LEDライトを使った水耕栽培で葉物野菜やいちごを育てる植物工場
断熱性に優れたリーファーコンテナを独自に設計し、LEDライトを使った水耕栽培で葉物野菜やいちごを育てる植物工場

 

これらは、持続可能でよりよい世界を目指す開発目標「SDGs」への取り組みの一環である。

短工期、低コストで施工できるプレキャスト基礎の開発、展開も、「ローンにしばられず、趣味やレジャーを充実させて家族のコミュニケーションが増える人生を提供したい」という同社の思いが根幹にある。

ライカジオシステムの墨出しシステム「iCR70」と「CC80」は、プレックスが掲げる企業理念の実現を、今日も裏方としてサポートしているのだ。

事例

世界中のお客様が当社の様々なソリューションを活用してスマートな変革を起こしている様子をご覧ください。
世界中のお客様が当社の様々なソリューションを活用してスマートな変革を起こしている様子をご覧ください。

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